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2005年8月29日

2005年8月29日 広がる、中国へのオフショア開発

広がるオフショア開発

 日立製作所、富士通、NECなどでミドルウェアやOS等のソフト開発に関する 海外委託(オフショア開発)が進展している。2005年度の見通し として、昨年度と比較して委託件数や金額は1.5倍~2倍弱程度に拡大する見込みだ。 委託先としては中国が多い。

中国の委託が多いわけ

わが国のソフト・オフショア開発が多い理由として 次のような理由が挙げられる。

  • 米国は英語の話せるインドへの委託が多い。それと対比して日本 はソフト・オフショア開発先として中国が多くなる
  • 中国技術者1人あたりの費用は日本の半額である
  • 開発を取りまとめる担当者が日中を往復する費用が低減できる
  • 中国に発注を集中させることによって、業種別の開発ノウハウを蓄積できる
  • この結果、中国の発注先の専門性も増し、特定の業種別に集中発注できる

 この結果、日本国内での開発にくらべソフト・オフショア開発 ではコストは30%~40%削減できる

全体的オフショア発注動向

日立、富士通、NECの発注動向は次のとおりだ。

  • --------------------------------------
  •  年度 |  日立  |富士通 | NEC
  • --------------------------------------
  • 2004年度| 1,100人  |1,000人 | 150億円
  • 2005年度| 2,000人  |1,500人 | 170億円
  • --------------------------------------
  • ※出所:日経2005/8/22

 人民元の切上げも人件費割安感を生む原因となっているらしい。

システムアナリスト 加藤忠宏の見解
ユーザとしての見解

 ユーザとして、委託したソフトウェアの品質に問題が無い限り、安価な方向は 大変歓迎である。特に、ユーザサイドからみて。「なぜ、こんな不自由なシステム がこんなに効果なのか」という不満もある。そのような問題の解消策として ソフト・オフショア開発は有効であろう。また、プロジェクトマネージャ としても赤字プロジェクト回避策として有難いだろう。

SE教育者としての見解

 しかし、歓迎ばかりしてはいられない。最近、国家試験のソフトウェア開発技術者 の育成教育を行っていて思うことは、「ソフト開発技術者の論理構成能力が 低下している」という点である。特に、それはアルゴリズムの読解をさせて みるとよくわかる。SQL文は読めるが汎用的アルゴリズムが読めない技術者が多発している。 この問題の放置は「わが国ソフト開発産業の自爆」に繋がりそうな 気がしている。

PM論文作成者としての見解

 また、プロジェクトマネージャ試験の小論文作成指導者としての立場をいうと、 日本のSEでさえ、要件定義を理解させるだけで相当の苦労なのに、言葉の違う人への 指導は世話の焼ける話だ。また、相手は文化が異なる人達。そのような人達への 意思伝達の手段として、両方の言語を理解している現地の仲介者の存在も不可欠 であろうと思われる。

以上

日本経済新聞 2005年8月22日「ソフト開発 中国委託拡大」
(c)アイ・リンク・コンサルタント 加藤忠宏



投稿者 kato : 2005年8月29日 13:54